流量計とシステムソリューションのオーバル

TOPICS

正しく永くはかり続ける
-安定した計測を支えるメンテナンスサービス-

2024年10月16日

サステナビリティインタビュー

流量計は産業界のマザーツールとされており、さらに、液体、気体、蒸気といったさまざまな「流体」が計測できるオーバルの流量計。その正確性、安全性を維持するために行われているのが、納入後のきめ細かなメンテナンスだ。丁寧かつ継続したメンテナンスによって、1949年の創業時から75年、今なお使われ続けている流量計もあるという。

確かな計測の裏側にある、実直で誠実な作業。メンテナンスの意義とこだわりを、サービス部 部門部長の丸山哲也氏に聞いた。

全国各地の拠点で年間約1万5,000件のメンテナンスに対応

 

モノには、必ず経年劣化や故障による不具合のリスクがある。それは流量計も例外ではない。だからこそ、オーバルでは「永く正確にはかる」ためのアフターメンテナンスに注力している。

メンテナンスのパターンは主に3つ。流量計を一時的に預かってメンテナンスする引取修理、流量計が設置されている現地にサービス技術員が出向く出張修理、そして消耗部品を中心とした部品販売だ。南は九州、北は北海道まで、全国各地の拠点にサービス技術員が在籍し、顧客の要望や流量計の状況に合わせて臨機応変に対応している。

 

 

「年間のメンテナンス件数は、引取修理が約5,000台、出張修理が約3,000件、部品販売が約6,500件ほどです。ただ、流量計は計測原理によって数多くの種類がありますし、サイズや重量も、小型のものから大きいと数トンのものまでさまざまです。さらに、計測する流体や使用状況、不具合の状態なども、流量計によってそれぞれ違います。出張修理が可能なら流量計を取り外さずに済みますが、中にはオーバルの工場に送っていただかなければ対応できない修理や仕様変更などもあります。メンテナンスにあたってまず大切なのは、現地で対応できるのか、引き取りが必要なのかを適切に判別すること。流量計にトラブルがあるとお客様の生産活動が止まってしまいますから、できるだけ迅速な対応を心掛けています」

「安全」「安心」「末永く」を実現するきめ細かなメンテナンス

 

流量計の中には、法令や使用方法によって一定期間ごとの点検が定められているものがある。その点検では、まず流量計を分解して一つひとつの部品を洗浄し、傷や摩耗がないかをチェックする。そして、必要に応じて修繕や交換を施し、組み上げた後に最終的な計測精度の検査を行う。古い流量計の中には既に製造を終了しているものもあるが、そのような場合でも、在庫の部品や代替部品を用いてできる限りの対応をしていると丸山氏は言う。

 

 

「オーバルでは、販売を終了した流量計に対しても、基本的には7年間のメンテナンスを保証しています。その後も部品の供給がある限りは対応可能ですし、代替品を利用できる場合もあります。

当社の製品ラインナップのうち最も古いものはオーバルギア式流量計(容積流量計)ですが、その中には、創業当時に製造した流量計が現在まで、現役で動き続けているものもあります。オーバルギア式流量計は、楕円形の歯車が回転して流体を計測するので、必ず部品の摩耗が起こります。しかしそれは、逆に言えば、摩耗した部品さえこまめに交換していれば、永く使い続けられるということでもあります。メンテナンスに携わっていると、私が生まれるより前に製造された流量計に出会うことも珍しくありません。永く使っていただいていることへの感謝の気持ちと同時に、メンテナンスの大切さを実感します」

 

メンテナンスが終了した流量計には、整備ワッペン(シール)が貼られる。整備ワッペンには年月日が記載されており、前回いつメンテナンスをしたかが一目でわかる。

 

「永く使われている流量計の整備ワッペンを見ると、やはりこまめにメンテナンスをされているケースがほとんどです。定期的にメンテナンスをしていれば、常に高い計測精度を維持できると同時に、どの部品をいつごろ交換すればいいかという予測も立てやすくなります。コリオリ流量計のような摺動部(部品同士が互いにこすれ合いながら滑って動く部分)がない製品もありますが、流量計を末永く安心して使っていただくためにも、法令点検だけではない定期的なメンテナンスをおすすめしています」

メンテナンスに「プラスアルファ」の価値を

 

メンテナンスにあたり、丸山氏をはじめサービス部で心掛けているというのが、「お客様の要望を的確につかみ、満足していただける対応をすること」、そして「プラスアルファとして提供できるサービスを考えること」だ。

その「プラスアルファ」のひとつが、20年ほど前から実施しているという、無償の「保全計画サポートサービス」だ。流量計が設置されている現場を訪問し、1台ごとに、製造状況や部品供給の可否などを調査。それに基づき、更新機器(代替品)や最適なメンテナンス周期を提案する。現状を踏まえた保全計画により、長期的に安定した機能・性能を保つことができるため、多くの顧客から喜ばれているという。

「プラスアルファ」の工夫は、納入後の製品管理にも見られる。納入する全ての流量計にはシリアルナンバーが付けられ、納入から現在に至るまでのメンテナンス履歴を詳細に記録。まるでカルテのように、創業時からの情報が管理されている。

 

「データ管理が一般的になる前に作られた古い流量計についても、紙のファイルですべて保管しています。シリアルナンバーで1台ずつ管理しているので、このファイルを見れば、どれくらいのスパンでどのようなメンテナンスをしたかが一目瞭然です。例えば1年ごとに定期メンテナンスを行っている流量計なら、1年後の状態を予想した上で部品交換を検討できます。また、次のメンテナンスまで期間が空きそうであれば、流量計の状態に合わせて最適なタイミングをご提案することもできます。人間の健康診断と同じで、流量計も悪くなる前の予防が大事。履歴管理の徹底により、将来を見据えた予防的なメンテナンスを可能にしています。」

 

できない理由ではなく「どうすればできるか」を考える

 

流量計のメンテナンスには、「分解してみないとわからない」という難しさがある。どの部品がどんな状態になっているか、不具合がある場合の原因が何かは、外側から見ただけでは判断できない。交換頻度の高い部品は各拠点に在庫を確保するなど、できる限りの準備をしていても、イレギュラーな対応を求められる場面は少なくない。

 

「お客様から難易度の高いご要望をいただいたとき、『できません』と言うのは簡単かもしれません。しかし、私が常々サービス技術員に話しているのは、『できない理由ではなく、どうすればできるかを考えなさい』ということです。

もちろん、メンテナンスが集中すれば大変なこともありますし、不具合の原因がなかなかわからず苦労することもあります。それでも、試行錯誤しながら故障の原因を突き止め、修理が完了してお客様からお礼の言葉をいただけたときには、とても大きなやりがいと喜びを感じます。

年に1度実施しているお客様へのアンケートで、『サービス技術員の対応が良かったからオーバルの流量計を選んだ』とコメントをいただいたこともありました。流量計専業メーカーとしての実績と、全国各地のサービス技術者による迅速な対応がオーバルの強み。『何かあってもオーバルなら対応してくれるだろう』と思っていただけているなら、これほど嬉しいことはありません」

 

さらに、サービス部では、今後に向けた新たな取り組みも進められている。

 

「現在計画しているのが、リファービッシュ品(整備済製品)の販売です。故障などで交換になる流量計の中には、一部の部品を除けば、まだ問題なく使用できるものがあります。そのような製品を整備し、リファービッシュ品として安価で販売すれば、資源の有効活用にもつながるでしょう。

また、同時に進めているのが、製品管理のDXです。納入した流量計の種類や数、整備状況などをデータで管理し、よりスムーズなメンテナンスのご提案に活かしたいと考えています。メンテナンスのプラスアルファの価値をさらに充実させ、これからもお客様から信頼していただけるようなサービスを提供していきます」

 

 

(ライターメモ)

流量計の精度は、生産現場の品質や効率に直結する。正しく永くはかり続けるためには、流量計のメンテナンスが必要不可欠だ。オーバルが実践する、創業以来75年の経験と知見を活かしたきめ細かなメンテナンス。一歩先を見据えた提案力と、迅速な対応力に、流量計専業メーカーとしての矜持が感じられる。

 

■参考資料

・メンテナンス作業

 

・最大級の容積流量計(重量:約2,300kg)

こちらもご覧ください(関連サイト)

 

メンテナンスサービスのご紹介

 

校正・サービス

 

SHARE