流量計とシステムソリューションのオーバル

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現場課題から生まれたスマート封印システム
-ローリー車の封印管理をデジタル化する「Lock'n Lorry®」
 お客様の相談から始まった開発-

2026年08月26日

サステナビリティインタビュー

(写真左から)髙原、アニッサ、遠藤、鈴木、森本

食品や飲料などを運ぶローリー車では、輸送中の品質を守るため、タンクの注入口や吐出口をカバー(マンホールカバー)で覆い、そのカバーと車体を結合する「封印管理」を行うことが一般的だ。

しかし、その多くは手作業に依存しており、危険な高所での封印確認作業や記録管理の負担、使い捨て資材の結束バンドの使用など、さまざまな課題があった。

こうした現場の課題をきっかけに開発されたのが、オーバルのスマート封印システム「Lock'n Lorry®(ロックンローリー)」だ。

今回は、お客様の相談を起点に誕生した本製品について、開発に携わったメンバーに話を聞いた。

(プロフィール)

・髙原 健一

 東日本営業部ブロック長、北関東営業所所長。営業担当としてLock'n Lorry開発当初から携わる。

・森本 康照

 研究開発部所属。開発当時は研究開発二グループに所属し、ソフト開発全般を担当。

・鈴木 守人

 研究開発部 研究開発二グループ所属。設計支援および評価の統括を担当。

・遠藤 佳史

 研究開発部 知財・規格グループ所属。開発当時は研究開発二グループに所属し、機構設計を担当。

・ヌルル アニッサ

 研究開発部 研究開発二グループ所属。回路設計、基板設計、評価を担当。

ローリー車の封印管理が抱えていた課題

 

「Lock'n Lorry」の開発は、食品や飲料を運ぶローリー車を運用するお客様からの相談がきっかけだった。オーバルでは、ローリー車に搭載された流量計の計測データをBluetoothでスマートフォンに送信し、納品時の数量を記録するシステムを提供していた。お客様から、「この技術をローリー車の封印管理に応用できないか」というご要望をいただいたことから検討が始まった。

 

「食品輸送の現場では、ローリー車の封印管理に、プラスチック製の結束バンドが多く使われています。この結束バンドは一度使用すると切断して廃棄するため、消耗品コストだけでなく、プラスチック廃棄物が発生します。脱プラの観点からも、結束バンドに代わる封印管理システムが求められていました」(髙原)

 

結束バンドによる封印作業は、安全性や業務効率の面でも課題があった。従来の方法では、ドライバーがマンホールカバーのある車両上部まで登り、目視で封印状態を確認する必要がある。特に高齢化が進む物流業界において、高所作業による転落リスクは大きな負担となっていた。加えて、使用した結束バンドの数や番号を台帳に記録し、パソコンで入力するため、管理作業に負荷がかかっていたほか、転記ミスなどのヒューマンエラーのリスクもあった。

 

当時、物流業界では、時間外労働の上限規制による「2024年問題」が間近に迫っていた。「ローリー車の封印管理をもっと安全でスマートにすることで、現場の課題と環境問題の両方を解決したいという思いがありました」と、アニッサ氏は振り返る。

 

現場の声から改良を重ねた「Lock'n Lorry」

 

「Lock'n Lorry」は、ローリー車に取り付けるロックユニットと制御ユニット、そして手元で操作するスマートフォンユニットで構成されている。スマートフォンユニットの操作によって、マンホールカバーの解錠、封印状態の確認が行える仕組みだ。

 

この形に至るまでには、さまざまな試行錯誤があったと開発メンバーは語る。

 

「ご相談を受けて、すぐにデモ機の試作に取りかかりました。その後も、何度もお客様を訪問して試作品を実際に使っていただき、ご意見をもとに改良を重ねていきました」(森本)

 

「フィールドテストでは、私たちもローリー車に登りました。高さのあるローリー車の上はとても怖くて『高所作業を減らしたい』と改めて感じました」(アニッサ)

 

試作品によるテストを繰り返す中で、新たに見えてきた課題もあった。特に苦労したのが、Bluetooth通信だったという。

 

「制御ユニットはローリー車の上部に設置されますが、操作する人は地上にいます。しかもローリー車は金属に覆われているため、Bluetoothの電波が届きにくかったのです。テスト車を用いて何度も検証を重ね、運転席付近からでも安定して通信できる仕組みを実現しました」(鈴木)

 

「マンホールカバーとロックユニットを結合させるロックキーも、お客様の声をいただいて改良したポイントのひとつです。当初は、ロックユニットの側面から水平にロックキーを挿し込む予定だったのですが、『挿し込み口から水やゴミが入る可能性がある』というご指摘をいただき、ロックユニットの底面から挿し込む構造に変更しました」(遠藤)

 

さらに、ソフト開発を担当した森本氏がこだわったというのが、スマートフォンアプリの操作性だ。

 

「一般的に、ローリー車には複数の注入口や吐出口があるため、初期の試作品では『どのロックを操作しているのかわかりにくい』という課題がありました。お客様の声をもとに画面デザインを見直し、ロックの位置関係が直感的にわかる表示へと改善しました」(森本)

安全性向上と業務効率化を実現する、新たな封印ソリューション

 

食品や飲料を運ぶローリー車の封印は、異物混入を防ぎ、輸送中に品質が保たれたことを証明する重要な役割を担う。万が一、輸送中に封印が破損すれば、積荷を受け取ってもらえないケースもある。だからこそ、封印管理をデジタル化する意義は大きい。 「Lock'n Lorry」によって、従来の封印管理が抱えていた課題は大きく改善された。脱プラスチック、安全性の向上、業務効率化、さらにはトレーサビリティの確保まで、物流現場にさまざまな価値をもたらしている。

 

「『Lock'n Lorry』は、従来の結束バンドに代わる、新しい封印管理システムです。使い捨てプラスチックの削減に加え、ペーパーレス化にもつながるため、環境負荷の低減にも貢献します」(遠藤)

 

「タップ一つでマンホールカバーの解錠ができ、封印状態もアプリ画面で一目瞭然なので、確認のためだけにローリー車へ登る必要がありません。危険な高所作業による転落リスクを抑えることはもちろん、納品先のお客様にも登っていただく必要がなくなります」(森本)

 

封印の状態はリアルタイムで記録され、施錠や解錠の履歴を時系列で管理できる。従来の紙台帳による管理と比べ、転記ミスを防ぎながらデータの信頼性も向上した。

 

「いつ施錠し、いつ解錠されたかという履歴はデータとして残り、メールでも送信されます。トレーサビリティの確保に加え、電子化によって管理の確実性やセキュリティも向上しました」(アニッサ)

 

今回の開発は、既存技術を別の分野へ応用し、お客様の課題解決につなげた取り組みでもある。流量計メーカーとして培ってきた技術と、お客様との対話を重ねながら改善を続ける開発スタイル。その両方があったからこそ、新しい封印ソリューションは実現した。

 

「試作品をすぐに持っていき、お客様のご意見をいただいて、また改良する。そのフットワークの軽さは、オーバルの強みだと思います。試作品だけでなく、実際の使い方をイメージしていただけるような動画なども制作し、『対応が早い』とお客様からも高い評価をいただきました」(髙原)

 

現場課題の解決から広がる可能性

 

「Lock'n Lorry®」は、食品輸送における封印管理の課題解決を目的として開発された。安全性向上や業務効率化といった価値を提供するとともに、今後はより多くの現場で活用されることが期待されている。

 

「まずは食品向けローリー車の業界標準になってほしいと思っています。多くのお客様に使っていただき、オーバルの技術や取り組みを知っていただければうれしいですね」(鈴木)

 

さらに開発メンバーは、流量計やクラウドシステムと連携したトータルソリューションへの発展も視野に入れる。

 

「『Lock'n Lorry』の可能性は食品輸送業界にとどまりません。製造元での出荷から輸送、納入先での受け入れまでをシステムとしてつなげることができれば、物流全体のDXにつながります」(遠藤)

 

「現場で働く方々の負担を減らし、より安全で働きやすい環境づくりに貢献していきたいですね。将来的には、クラウド化による遠隔監視や遠隔操作なども実現できればと思っています」(森本)

 

「今はまだ新しい製品ですが、このようなソリューションが広く普及することで、市場そのものが活性化していくことを期待しています。お客様の課題に寄り添いながら、新しい価値を生み出し続けることが、オーバルの役割だと考えています」(髙原)

 

 

(ライターメモ)

オーバルの長年培ってきた流量計測技術を応用し、お客様から寄せられた現場課題の解決を目指して開発された「Lock'n Lorry®」。高所作業の削減や封印管理のデジタル化に加え、使い捨てプラスチックの削減にもつながっている。お客様の声に耳を傾けながら課題解決を形にしていく姿勢は、オーバルの強みのひとつである。

 

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「Lock'n Lorry®」製品情報

 

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