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概要

2024_09oval

30 計装・9 月号エネルギー管理に最適な「完全工事レス」新型クランプオン形超音波流量計〈シリーズ企画/ 計測/ 監視/ 管理〉【プロセスセンサ】オーバル 鷲 尾 健 二シリーズ企画計装ギャラリ「進化するプロセス計装機器」(第22回)1. はじめに近年,SDGs に象徴される「持続可能な経済社会」を実現すべく,国内外で「脱炭素化」や「省エネルギー化」に関連する幅広い取り組みが推進されている。膨大なエネルギーを消費する工場やプラント,ビルや商業施設等においても,事業活動によって生じる環境負荷を低減することは積極的に取り組むべき課題となっており,省エネ対策の重要性は日々高まっている。省エネ対策を進める際に,その最初のステップとなるのが「エネルギー使用状態の可視化」である。すなわち,電力や各種ユーティリティ流体(水,温水,蒸気,燃料油,圧縮空気等)が「いつ,どこで,どのくらい」消費されているかをきめ細かく可視化できなければ,「むだの是正」や「設備稼働運用の見直し」などの具体的かつ効果的な省エネ対策を講じることは難しいものとなる。一方で「可視化」のために大きなコストやエネルギー,人的労力を割くことは本末転倒な結果を招きかねないリスクもあり,特に「流量計測」は電力計測に比べると導入のハードルが高いとされる傾向がある。その結果,「ユーティリティ流体使用量のきめ細やかな可視化」は,数ある省エネ対策の中では「後回し」や「手つかず」となりがちである。逆に言えば,このテーマは今後の脱炭素社会の実現に大きく貢献し得るポテンシャルを秘めていると言えよう。本稿では,ユーティリティ流体使用量の可視化に最適な「クランプオン形超音波流量計 UC-1(以下UC-1)」について紹介する。UC-1 は,現在,東京計器㈱と当社/ ㈱オーバルにて共同開発を進めている新型流量計であり,今秋の販売開始を予定している。2. ユーティリティ流量計測の課題前章にて,電力計測に比べると流量計測(すなわち流量計の導入)はハードルが高い傾向がある旨について触れたが,ハードルを高めている具体的な要因としては次のようなものが挙げられる。(1)流量計を設置するためには配管工事が必要流量計の多くは,配管と配管の間に挟み込むように取り付ける「インライン型」であるため,導入に際しては配管工事が必要となる。特に既設の配管に後付けする場合には,大掛かりな配管改造工事が必要となる場合もある。(2)流量計を駆動するための電源設備が必要多くの流量計では駆動用の電源が必要となるため,設置現場に電源設備がない場合は,別途電源設置工事や電源ケーブルの敷設が必要となる。(3)メンテナンス運用の難しさ(1)で例示したようなインライン型の流量計を使用している場合,故障発生時やメンテナンス時に流量計を一時的に配管から取り外すことも想定されるため,流れを止められないラインでは「バイパス配管」の設置が必要となる。また,流量計は基本的に配管口径ごとに異なる製品となるため,予備品を保有する場合は,配管口径の種類だけ準備する必要がある。(4)遠隔管理を行う場合はケーブル敷設が必要様々な場所に配置された流量計の計測データを効率的に収集・管理するためには,流量計の信号出力機能を利用した「遠隔での一元管理」が望ましいが,その場合は信号伝送用ケーブルの敷設が必要となる。ケーブル敷設は,工事費用や時間もさることながら,昨今ではケーブルの価格が高騰しており非常にコスト高となる傾向がある。以上のように,流量計を導入・運用するためには,流量計自体の費用に加え様々な費用や時間が掛かるため,ものづくりやサービスの品質に直接は関わらない「省エネを目的とした可視化」のためだけに流量計を導入することは,多くの企業にとって悩ましい面がある。その結果,ユーティリティ計測用の流量計はエネルギー供給源に1 台だけとなり,枝の配管までは設置が広がらなかったり,もしくはできるだけコストを抑えるために,枝の配管には電源不要かつ現場表示機能のみの安価な機械式流量計が設置されるケースが多く見られる。流量計がエネルギー供給源のみに設置されている