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超音波流量計の計測原理

超音波流量計の原理に関する情報を載せております。

1.超音波とは?
2.なぜ超音波なのか
3.超音波流量計の計測原理
4.流速から流量への変換
5.超音波流量計の特徴(まとめ)

1.超音波とは?

超音波は人間の耳で聞き取ることが出来ない周波数の高い音波であり、一般的には20kHz以上の音響振動と定義されています。要するに周波数の高い音のことです。 自然界には超音波を活用している動物が沢山います。その中でも有名なのがコウモリやイルカです。特にコウモリは夜行性で、光のない洞窟の中を飛んだり、暗闇で外敵を見分けなければなりません。そこでコウモリは自ら発生した超音波の反射波を聞き分けて仲間を識別したり、物体の位置を確認したりしているのです。

2.なぜ超音波なのか

超音波は音響振動ですから、これが伝わるためには気体、液体、固体などの媒体を必要とします。したがって、真空中でも伝搬する電波(電磁波)とは全く異なります。超音波は電波に比べて伝搬速度(超音波が伝わる速さ)が遅く波長が短いので、この特性を利用して距離計、厚み計、医療用の診断装置、そしてここでご紹介する流量計にも活用されています。では、なぜ伝搬速度が遅いと良いのか?これは非常に簡単です。なぜなら、「電波は速すぎてダメ」なのです。
空気中を考えると、超音波の伝搬速度は約340m/sなのに対して、電波は約300000000m/s(30万km/s)です。電波は超音波に比べて約88万倍も速いのです。速度が速いと言うことは同じ距離を進む場合、より時間が短くなると言うことです。これは、皆さんもよくご存じの通り、「雷」を見てもらえば分かると思います。ピカッと光った後に、しばらくしてドーンと音がします。光の進む速さは電波と同じなので、光と音の時間差はすなわち電波と音波の速度差なのです。


例えば上図のように口径50mmの配管に45度の角度でセンサを配置し、それぞれが伝搬する時間を計るとします。センサ間の距離は約71mmですから、超音波は約0.2ms(ミリ秒)、電波は約0.2ns(ナノ秒)となります。実際問題として、電波の0.2nsというごく短い時間差を識別できるのかがポイントとなってきますが、これは至難の業です。識別できたとしても、その精度は極めて低いものとなるでしょう。
したがって、超音波は距離計や厚さ計、流量計、医療診断など近距離の計測に適しています。逆に対象物がものすごく大きく距離がある場合(例えば30km先の対象物など)、電波は実用に適するものとなります。したがって、レーダーや放送、通信などには電波が使われます。

3.超音波流量計の計測原理

超音波流量計には伝搬時間差法、伝搬時間逆数差法、シング・アラウンド法、ドップラー法など、いくつかの方法があります。それぞれに特長がありますが、中でも最もよく使われている伝搬時間逆数差法(周波数差法)について説明します。





配管にトランスデューサ(超音波センサ)を予め決められた位置に配置して交互に超音波を送受信します。流れのない時は、上流側Aから下流側Bへの超音波が伝搬する時間Tabと、BからAへ超音波が伝搬する時間Tbaは等しく、次式のようになります。

    
ここで、Lは超音波の伝搬する距離(すなわちトランスデューサ間の距離)、Cは音速です。

流れがある場合、AからBへ伝わる超音波は流れに順方向のため、追い風となります。したがって、流れがないときと比べて速く伝搬します。逆にBからAへ伝わる場合は流れに逆らうため向かい風となり、流れのない時と比べて遅くなります。これを式で表すと、
    

ここで、Vは流速、φはパイプ軸と超音波伝搬軸との角度です。
この関係から、それぞれの伝搬時間の逆数差(周波数差)を取ると、最終的に流速Vは、

    
    

上式より、音速の項が計算式から除かれているので、ガスの成分、温度、圧力などがふらついて音速が変化しても、流速演算に影響しないため安定した計測が可能となります。また、ここから容積流量は上記流速に管断面積Aを乗じて、

   
となり、流量を求めることが出来ます。

4.流速から流量への変換

先ほど
   
という式を示しましたが、これは厳密に言うと正しくありません。流量に換算するためには流速Vは管断面全体の平均流速でなければなりません。しかし、超音波流量計で計測している流速は、超音波が伝搬していく経路上の平均流速(線平均流速という)であり、面の平均流速ではないため、これらの間には若干の誤差があります。
したがって、実際の流量計では検出した流速値を「流量補正係数」で面の平均流速に補正した後、断面積をかけて流量を求めています。

5.超音波流量計の特徴(まとめ)

超音波流量計の特長として

  1.構造が簡単で機械的可動部がない
  2.レンジアビリティが非常に大きい
  3.圧力損失がない
  4.正逆計測が出来る
  5.渦流量計などに比べ大口径が容易に製作できる

などが挙げられます。また、超音波流量計は計測原理上以下の点に注意が必要です。(気体用と液体用で分けてあります)

  <気体用・液体用共通>
    1.流速分布の影響を受ける(ある程度の上流直管部または整流器が必要)
    2.コリオリ流量計と同様に検出量がアナログのため分解能の問題がある
      (流量ゼロから「計測できる」が「精度が悪く」なる)
  <気体用>
    1.減圧弁や絞りなどは超音波ノイズが発生するため近傍に設置できない
    2.ダスト、ミストなどの多いラインでは使用できない
  <液体用>
    1.気泡など超音波を散乱させるものが混入すると計測できない

しかし、最近ではエレクトロニクス技術の進歩により超音波流量計の性能は格段に向上し、また昨今の省エネルギー気運の高まりから、流量範囲が広く低圧力損失の超音波流量計への注目度は高くなっています。また、今までは技術的に困難だった小口径の超音波流量計も徐々に登場し、今後益々伸びていく流量計であると考えられます。

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